メールマガジンとして配信された文章)

おはようございます。ラピシュットの長谷川高士です。

2025年8月10日から11日かけて熊本県内で大雨が降り、各地で浸水等の被害が発生しました。

一時、玉名市、長洲町、宇城市、八代市、氷川町、天草市、上天草市の7市町に大雨特別警報が発表されました。

私や妻の自宅近くではありませんが、熊本市内でも道路の冠水等がありました。

今日のコンテンツは、浸水時の排水、です。

「これが、線状降水帯か……」

2025年8月11日の明け方、前夜から全く変わっていない激しい雨音で私は目を覚ましました。

全国ニュースで報じられる熊本市内の映像には、見覚えがある場所が映っていました。

大雨特別警報が発表された7市町の中には、友人が住んでいる場所がありました。

「大変だとしたら返って迷惑かも」
と躊躇しながらも、状況を尋ねるメッセージを送りました。

相手からはそれぞれに返信があり、自身や近所の被害を伝えてくれました。

翌12日(本稿執筆当日)は社労士事務所の出勤日でした。

いつもの朝の挨拶に加えて、互いに被害の有無を尋ね合い気遣い合う、というコミュニケーションがそこかしこで交わされました。

朝礼では、
「浸水被害に遭った顧客を見舞いに行く」
という予定が伝えられました。

友人が語った「気になること」

特別警報が発表された市に住む友人に、12日の夕方に話を聴きました。

友人によると、その市では広い範囲で浸水したそうで、雨水が排水しきれずに起きる内水氾濫が原因らしい、とのことでした。

友人宅は床下まで、近所の道路はガードレールの上端辺りまで浸水していたそうです。

浸水のピークは11日の午前10時ごろで、そこから徐々に水位は下がり、
「午後には水が引いた」
とのことでした。

その友人は、さらに気になることを話してくれました。

「排水が流れにくかった」
というのです。

私は詳しい状況を尋ねました。

「確認したい」と私が思ったこと

友人によると、状況は次のようなものでした。

  • そもそも、排水を流せないのではないか、と考えた
  • 試しに、男性小便器に水を流してみた
  • いつもなら滞りなく流れるところ、明らかに流れが悪い感じがした
  • 以降(水が引くまでの間)、トイレを含む一切の排水を流すのをやめた

「そもそも、流せないのではないか」
という予測と、流れの悪さを感じて行った
「流すのをやめる」
という判断は実に見事で、感心しました。

その上で、疑問、というよりも確認したいことが、私の中に生まれていました。

それは次のことでした。

  1. 友人宅の排水処理は、A)浄化槽か、B)公共下水道か
  2. 友人の住む地域の下水道は、C)分流式か、D)合流式か

この 1)2)の結果によっては、友人が経験した現象を説明できる場合とそうでない場合、があるからでした。

説明できる2つ場合

友人が経験した現象を説明できる場合の1つ目は、1)がA)、すなわち友人宅の排水処理が浄化槽のとき、です。

浄化槽(ここでは話を単純化するために合併処理浄化槽とします)の放流管は、一般的には道路側溝に接続されます。

道路が浸水すれば、浄化槽の放流管を通じて排水管内も自ずと浸水します。

その状態では排水が流れにくくなり、無理に流せば、排水口から溢れ出ます。

友人が経験した現象を説明できる場合の2つ目は、1)がB)かつ 2)がD)、すなわち、友人宅の排水処理が公共下水道で、その下水道が合流式のとき、です。

合流式とは、雨水が汚水と同じ管路を流れる方式の下水道設備のことです。

内水氾濫が発生すれば雨水が流れる、すなわち汚水も流れる下水道管の中はほぼ満水となり、そこにつながっている友人宅の排水管内も自ずと浸水します。

1つ目の場合と同じく、その状態では排水が流れにくくなり、無理に流せば排水口から溢れ出ます。

ところが友人宅は、どうやらこのいずれでもないようでした。

原因は不明だがリスクはある

友人宅の排水処理は、分流式の公共下水道でした。

雨水と汚水が別々の管路を流れる分流式では、仮に内水氾濫が発生していても汚水が流れる管路がその影響を受けることは、原理的にはあり得ません。

よって、上の2つの場合のように友人宅の排水管内は浸水せず、排水が流れにくくなることもなく排水口から溢れ出ることもない、はずなのです。

ところが、友人宅ではこの現象が見られました。

しかも友人宅のみならず、近所の別の家でも同様のことが確認されました。

現時点で把握し得る全ての情報を総合しても原因の特定は困難ですが、たとえ分流式の下水道に接続しているとしても、浸水時には「排水が困難になることがある」という恐れが確認されました。

特定が困難であることを承知の上で、一応の提示を試みるとすれば、次のような仮説を挙げることができます。

  1. マンホール等から雨水が混入
    道路上のマンホールのフタ等から、雨水(浸水した水)が混入し、汚水の下水道管路も満水に近い状態になった。
  2. ポンプ等の機能低下
    中継ポンプ等の機能が、(浸水害に伴う)何らかの原因で低下し、汚水の下水道管路が満水に近い状態になった。
  3. 友人宅の排水管の異常
    浸水害により、友人宅の汚水排水管に何らかの異常が発生し、流れにくい状態が発生した。
  4. 下水道に合流式の区間がある
    下水道に雨水と汚水の合流式の区間があり、汚水の下水道管路も満水に近い状態になった。

いずれにしても、このリスク(浸水時には排水が困難になることがある)に気づくきっかけとなる情報を提供してくれた友人に感謝します。

◇今日の気づき

浸水時には、排水が困難になることがある
分流式下水道でも、この困難は起こり得る

◇この文章の入口(参考)

出来事(右下)と感覚(左下)から、意味(左上)へ


この文章は、
判断や結論に入る手前の、話の地面を整える工程(lapi-schutto.jp/before-the-talk)に関わる中で書かれています。

この文章を読んで、

話が噛み合わない感触や結論に入る前の違和感

が残るときは、それを急いで解消しなくても構いません。

そのための場所を、別に置いています。

結論の前に