メールマガジンとして配信された文章)

おはようございます。ラピシュットの長谷川高士です。

「労働」について考えている今月。

5回目の今日は、私が労働者性について考えるきっかけとなった
「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」
について、書きたいと思います。

今日のコンテンツは、労働その5、です。

労働の話を書こうと思ったのは、実は
「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」
を知ったことがきかっけでした。

この5つの違いは、労働者性の取り扱いによって説明することができます。

ただしそのためには、労働者性について説明しなければならない。

そこで、先週まで4回に渡って労働者性について書いてきました。

前半の2回で法的な定義を概観し、次のようにまとめました。

  • 労働とは、賃金を得て指揮監督の下に働くこと
  • 労働者性があるとき指揮監督関係がある

さらに後半の2回で、具体例を参照しました。

そして今日、いよいよついに
「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」
について書くことができます。

休日、休暇、休業、休職、休憩の共通点

まず大前提として、休日、休暇、休業、休職、休憩の全てには、次の3つの共通点があります。

1)労働契約に基づくものである

休日、休暇、休業、休職、休憩の全ては、労働契約に基づくものです。

したがって労働契約のないところには、(本稿で扱う意味における)休日、休暇、休業、休職、休憩は、いずれも存在しません。

これら5つの違いを労働者性の取り扱いによって説明することができるのは、このためです。

また、労働契約に基づくものである、ということは労働基準法(以下「労基法」とします)等の法令によっても保障される側面があります。

2)「休」が付いている

休日、休暇、休業、休職、休憩の全てには、言わずもがな「休」の字が付いています。

労働契約における「休」とは、労働者性の一時停止を意味します。

5つの違いの1つは、この労働者性の停止やそれに至る経緯の性格の違いです。

3)期間の呼称である

休日、休暇、休業、休職、休憩の全ては、期間の呼称です。

期間の長さはまちまちです。

労働者性があるとき指揮監督関係がある、のですから、労働者性が一時停止しているこれら5つの期間では、いずれも指揮監督関係が一時停止しています。

では、1つずつ見てみることにしましょう。

休日

休日とは、

  1. 労働契約(および法令)において
  2. そもそも労働者性が免除されている

です。

つまり休日とは、

  • 指揮監督関係の一時停止があらかじめ約束された日

ということです。

労基法は、第35条第1項で
「毎週少くとも1回の休日を与えなければならない」
としており、これを「法定休日」と言います。

一方、この法定休日のほかにさらに追加で設定される休日のことを「法定外休日」と呼びます。

例えば、毎週土曜と日曜を休日とするいわゆる完全週休2日制の労働契約では、いずれか一方(1日)が法定休日、他方(もう1日)が法定外休日として扱われます。

休暇

休暇とは、

  1. 労働契約(および法令)に基づき
  2. あらためて労働者性が免除される

です。

つまり休暇とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が休日とは別に個別に取り決められる日

ということです。

休日と同じく、休暇にも法定と法定外があります。

■法定休暇の例

  • 裁判員休暇(労基法第7条)
  • 年次有給休暇(労基法第39条)
  • 生理休暇(労基法第68条)
  • 看護休暇(育児・介護休業法第16条の2)
  • 介護休暇(育児・介護休業法第16条の5)

■法定外休暇の例

  • 特別休暇(夏季休暇、リフレッシュ休暇、私傷病休暇など)
  • 慶弔休暇(結婚休暇、忌引き休暇など)

法定を含めた全ての休暇において、有給とすることが義務付けられているのは、年次有給休暇のみです。

年次有給休暇以外の休暇を有給にするか無給にするかは、就業規則や労働契約など労使間の約束の内容次第です。

またいずれの休暇も、休日にこれを当てることはできません。

すでに労働者性が免除されている日である休日に対して、あらためて労働者性を免除することはできないからです。

そもそも労働者性があることが約束された日において、その労働者性が免除されることが休暇の本質です。

労働者性が免除され労働しないのだから、労働対償性を持つ報酬(賃金)が休暇分について支払われない、すなわち無給であることは論理的には当然のことと言えます(これを賃金の欠勤(または不就労)控除と言います)。

有給休暇は、労働者性が免除されつつ報酬も損なわれない、という特殊な休暇なのです。

休業その1 労働者に責のない休業

休業は、大きく2つに分かれます。

1つ目は、労働者に責のない休業、です。

労働者に責のない休業とは、

  1. 労働契約があるにも拘わらず
  2. 使用者の責に帰すべき理由、不可抗力、または業務上の傷病によって労働ができない

です。

つまり労働者に責のない休業とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が労働者の意に反して発生する日

ということです。

使用者の責めに帰すべき理由とは、例えば、

  • 資材を調達できなかった
  • 機械が故障した

など、操業ができない原因が明らかに使用者側にあるものを言います。

この場合、休業手当として平均賃金の60パーセント以上を、使用者は労働者に支払わなければなりません。

対して、不可抗力とは、地震や台風など天災に見舞われた場合を想定しています。

この場合、休業手当の支払いは不要となりますが、「不可抗力による休業」は、次の2つの要件をいずれも満たす必要があるとされています。

  • その原因が事業の外部より発生した事故であること
  • 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

業務上の傷病による休業の場合は、休業補償として平均賃金の60パーセントを使用者は労働者に支払わなければなりません。

休業その2 労働者の状態・請求(申出)による休業

2つ目は、労働者の状態・請求(申出)による休業です。

労働者の状態・請求(申出)による休業とは、

  1. 法令に基づき
  2. 労働者の状態または請求(申出)によって、労働者性が強制停止または免除される

です。

つまり
労働者の状態・請求(申出)による休業とは

  • 指揮監督関係の一時停止が労働者の状態や請求によって発生する日

ということです。

労働者の状態・請求(申出)による休業は、次のとおりです。

  • 産前産後休業(労基法第65条)
  • 育児休業(育児・介護休業法第5条)
  • 介護休業(育児・介護休業法第11条)

産前産後休業の内、少なくとも産後6週間については、当該の労働者の意思によらず、その休業を使用者に対して義務付けています(就業させてはならない)。

これが、労働者の状態によって(強制的に)発生する休業です。

これ以外の休業は、法律が定める要件を満たす労働者からの請求(または申出)によって発生します。

このとき、労働者からの請求(申出)を使用者は拒むことができません。

その意味では、法定休暇も同じ性格を持っていることになります。

この場合の休暇と休業の用語の違いは、(明示的ではないものの)休暇が1日から数日単位であるのに対して、休業がそれ以上(数週間から数か月)、という点にあると言えそうです。

なお、(年次有給休暇以外の)法定休暇と同様に法定休業にも有給とする義務がありません。

その代わりに手当や給付など、社会保険制度による保障や援助を受けることができます。

休職と休憩が残っていますが、文量が多くなったので、続きは次週とします。

◇今日の気づき

休日を休暇にすることはできない
休業は大きく分けて2つある

◇引用・参考文献一覧

上西賢佑(2024年5月21日)「労務管理における「休日」「休暇」「休業」「休職」などの違いを解説」
https://uenishi-sr.jp/20240520-2/

ポライト社会保険労務士法人(2021年4月8日)「知っているようで知らない!?休日、休暇、休業、休職の違いとは?」
https://www.ieyasu.co/media/4types-of-rest/

西田牧子監修(2025年4月3日)「【休みの種類と対応:前編】「休日」、「休暇」、「休業」、「休職」の違い、明確に説明できますか?<図解つき>
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=4280

◇この文章の入口(参考)

整理された意味(右上)から、未分化な意味(左上)へ


この文章は、
判断や結論に入る手前の、話の地面を整える工程(lapi-schutto.jp/before-the-talk)に関わる中で書かれています。

この文章を読んで、

話が噛み合わない感触や結論に入る前の違和感

が残るときは、それを急いで解消しなくても構いません。

そのための場所を、別に置いています。

結論の前に