メールマガジンとして配信された文章)

おはようございます。ラピシュットの長谷川高士です。

先月から「労働」について考えています。

そして、先週からは、
「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」
について、書き始めました。

今日のコンテンツは、労働その6、です。

労働の話を書こうと思ったきっかけである
「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」。

この5つの違いは、労働者性の取り扱いによって説明することができます。

先週は、休日、休暇、休業までを書きました。

例によって、おさらいしましょう。

■休日とは、

  1. 労働契約(および法令)において
  2. そもそも労働者性が免除されている

つまり休日とは、

  • 指揮監督関係の一時停止があらかじめ約束された日

ということ。

■休暇とは、

  1. 労働契約(および法令)に基づき
  2. あらためて労働者性が免除される

つまり休暇とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が休日とは別に個別に取り決められる日

ということ。

■休業その1 労働者に責のない休業とは、

  1. 労働契約があるにも拘わらず
  2. 使用者の責に帰すべき理由、不可抗力、または業務上の傷病によって労働ができない

つまり労働者に責のない休業とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が労働者の意に反して発生する日

ということ。

■休業その2 労働者の状態・請求(申出)による休業とは、

  1. 法令に基づき
  2. 労働者の状態または請求(申出)によって、労働者性が強制停止または免除される

つまり労働者の状態・請求(申出)による休業とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が法令に基づき、労働者の状態や請求によって発生する日

ということ。

なお、最後の「休業その2」だけは、「つまり」の後の文章に【法令に基づき】という連用句を追加しました。

その理由は、次の章で分かります。

休職

休職とは、

  1. 労働契約(就業規則、労使協定)に基づき
  2. 本人の事情により労務を提供できず、業務指示または労働者の申請によって、労働の義務が停止または免除される

です。

つまり休職とは、

  • 指揮監督関係の一時停止が【労働契約(就業規則、労使協定)に基づき】、労働者の状態や請求によって発生する日

ということです。

中段の連用句以外は、「休業その2 労働者の状態・請求(申出)による休業」と全く同じです。

両者の違いはその根拠にあります。

休業その2が法令に基づくのに対して、休職にはこれを担保する法令がありません。

すなわち休職(制度)は、就業規則や労使協定を含む労働契約の内容にのみ基づくものです。

休職は、労務が提供できなくなる理由を、専ら
「労働者自身の事情」
として想定しています。

休職には、例えば次のようなものがあります。

  • 私傷病休職
  • 事故欠勤休職
  • 組合専従休職
  • 起訴休職

これらを眺めて気づくのは、休暇の1つである法定外休暇との類似性です。

この類似性は、先週書いた休業その2と法定休暇とのそれと同じものだと言えます。

先週の文章の休業を休職に換えて再度説明すると、次のようにできます。

この場合の休暇と休職の用語の違いは、(明示的ではないものの)休暇が1日から数日単位であるのに対して、休職がそれ以上(数週間から数か月)という点にあると言えそうです。

さらに、法定外休暇と休職には、微妙なニュアンスの違いを読み取ることもできます。

次に挙げる例からも分かるとおり、一般的な法定外休暇の多くには福利厚生的な意味合いを認めることができます。

  • 夏季休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 結婚休暇
  • 忌引き休暇

その一方で休職は、上の例のとおり、
「(労働契約を維持しながら)一定期間の欠勤を容認する」
といった使用者側の態度が伺えそうです。

休憩

休憩とは、

  1. 労働契約(および法令)において
  2. そもそも労働者性が免除されている
  3. 時間

です。

つまり休憩とは、

  • 指揮監督関係の一時停止があらかじめ約束された時間

ということです。

読んで分かるとおり、休日の3)の「日」を「時間」に置き換えたものが休憩です。

ここでは、労働基準法(以下「労基法」とします)の関連条文を見てみることにしましょう。

(休憩)
第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

2 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、(中略)書面による協定があるときは、この限りでない。

3 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

ご覧のとおり労基法第34条は、3項からなる条文で「休憩」と題される、正に休憩のためのものです。

3項の条文から、次の3原則を導くことができます。

■休憩の3原則

  1. みんな一斉にとる(一斉付与の原則)
  2. 労働時間の間にとる(途中付与の原則)
  3. 自由に利用させる(自由利用の原則)

1】は第2項のただし書きにあるとおり、協定があれば例外が認められます。

他方、2】と3】に例外はありません。

3】は「指揮監督関係の一時停止」を裏側から示したものであり、あえて念を押していることに注意を向ける必要がありそうです。

例えば次のように、指揮監督関係が肯定されるような場合、には休憩とはみなされない恐れがあります。

  • 電話番をしながらの昼食
  • 参加を強制されるランチミーティング

休憩中に
「指揮監督関係があってはならない」
のです。

読んで、思わず……

「休日、休暇、休業、休職、休憩の違い」
について2週に渡って書きました。

読者の中には、最後の休憩までを読んで、思わず
「はっ!」
とした方が(労使の立場を問わず)いるかもしれません。

かく言う私も、その1人です。

2025年9月23日配信の第386号の終章で、次のように書きました。

雇用されて仕事をする場面では、労働者である自分をより強く意識するようにもなりました。

可笑しな言い方にはなりますが、ちゃんと

  • 指揮命令通りに業務を行っているか
  • 拘束されているか

という意識です。

(中略)

少なくとも、雇う人と雇われる人の双方は、
「今は、労働者性のある働き方をしている(あるいは、今は、労働者性のある働き方をしていない)」
という認識を正しく持つ必要があると言えます。

なぜならば、それが正しい契約(約束)内容だからです。

この認識を見直した方がよい労務環境は、ひょっとしなくても、すぐそばにあるのかもしれません。

◇今日の気づき

休暇は福利厚生的、休職は欠勤の容認
休憩中に指揮監督関係があってはならない

◇引用・参考文献一覧

上西賢佑(2024年5月21日)「労務管理における「休日」「休暇」「休業」「休職」などの違いを解説」
https://uenishi-sr.jp/20240520-2/

ポライト社会保険労務士法人(2021年4月8日)「知っているようで知らない!?休日、休暇、休業、休職の違いとは?」
https://www.ieyasu.co/media/4types-of-rest/

西田牧子監修(2025年4月3日)「【休みの種類と対応:前編】「休日」、「休暇」、「休業」、「休職」の違い、明確に説明できますか?<図解つき>」
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=4280

みくら社会保険労務士事務所「労働時間・休憩・休日」
https://www.mikura-sr.com/287631408

厚生労働省愛媛労働局「よくある質問と答え8」
https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/shurouchu/2040208.html

◇この文章の入口(参考)

整理・概念(右上)から、意味(左上)へ


この文章は、
判断や結論に入る手前の、話の地面を整える工程(lapi-schutto.jp/before-the-talk)に関わる中で書かれています。

この文章を読んで、

話が噛み合わない感触や結論に入る前の違和感

が残るときは、それを急いで解消しなくても構いません。

そのための場所を、別に置いています。

結論の前に