会議や打ち合わせ中、
プロジェクトの進行中、
取引先との商談中、などで
「話がどうも噛み合わない」
と感じたことはないでしょうか。
意見が対立しているわけでもない。
誰かが強く反対しているわけでもない。
それでも、なんだか話が前に進まない。
その原因の一つとして、
専門用語や社内だけで通じる社内語
の存在があるかもしれません。
このページでは、
話し合いの場で実際に行っている工程
を、そのまま言葉にしています。
話し方の型やテクニックの紹介ではありません。
専門用語や社内語が生む、見えにくいズレ
もちろん、専門用語や社内語そのものが直ちに悪いわけではありません。
むしろ、これらを使うことで
- 共有されていれば話が早い
- いちいち説明しなくて済む
- 業務効率が上がる
などの利点があります。
一方で、問題が生じやすい場面があります。
それは、その言葉が、
当事者全員に同じ意味で共有されているかどうか
が、確認されないまま使われるときです。
同じ言葉でも、
思い浮かべている内容や範囲が、人によって微妙に異なる。
それでも話は止まらず、
その言葉を前提に、議論は次へと進んでいく。
この時点で、
すでに話は、少しずつ噛み合わなくなり始めています。
「分からない」と言いにくい空気
専門用語や社内語が出ている場面で、
- 今さら「分からない」と言うのは気が引ける
- たぶん、だいたい分かっている
- ここで話を止めるのは申し訳ない
などのように感じてしまうことが、しばしばあります。
結果として、
- なんとなく理解したつもりになる
- 理解が曖昧なまま話を聞き続ける
- 徐々に違和感が大きくなる
という流れが生まれます。
このときの違和感は、
「よく分からない」ではなく
前提が揃わないまま話が進んでいる
という感覚です。
それでも、専門用語や社内語を使いたい
それでも実務の場では、次のような理由から
専門用語や社内語を使い続けたい
という意向や事情があることも多いでしょう。
- その言葉を使った方が、効率が良い
- 他に置き換えると、返って分かりにくい
- 今後も使う必要が、頻繁に生じる
この場合に必要なのは、
言葉を避けることではありません。
一度立ち止まって、その言葉を定義し直す工程です。
“再定義”という話が噛み合うための工程
話が噛み合うための工程として、
専門用語や社内語を
“再定義“
しています。
ここでいう再定義とは、
辞書的に正しい説明をすることではありません。
「この場では、この言葉を、どういう意味で使うのか」
これを、
当事者同士で同じ程度に理解できるようにする
ということです。
その際に、意識を向けたいポイントがあります。
- できるだけ平易な言葉で言い表す
- 必要に応じて、具体例や例え(メタファー)を入れる
- 抽象的になりすぎないようにする
重要なのは、
正解の定義を作ることではない
という点です。
求められているのは、
同じ言葉を聞いて、同じものを思い浮かべられているか。
それだけです。
なぜ、再定義の工程は飛ばされやすいのか
再定義の工程は、目立ちません。
- 議事録に残りにくい
- 成果として評価されづらい
- 時間がかかるように見える
そのため、
「後でいい」
「進めながらすり合わせよう」
と判断され、飛ばされがちです。
しかし、この工程を飛ばした結果、
- 後半で話がこじれる
- 同じ説明を何度も繰り返す
- 結局、何の話だったのか分からない
というように、
より大きな時間と労力を消費する場面
を何度も見てきました。
止めるためではなく、話を進めるために
専門用語や社内語を再定義することは、
話を止める行為ではありません。
むしろ、
話がきちんと動き出すための下準備です。
言葉を使う前に、
その言葉を同じ場所に置き直す。
それだけで、
- その後の議論のズレ
- 誤解が生まれるリスク
- 無駄な手戻り
が、大きく変わります。
ここで終わっても構いません
もし、ここまで読んで、
「最近の話し合い、ここが飛ばされているかもしれない」
そう感じたなら、このページはここで閉じても構いません。
答えを出す必要も、
すぐに行動を変える必要もありません。
ただ、次にその言葉が出てきたとき、
一度立ち止まる余地が残ります。
それが、
話が噛み合うための、静かな工程です。
立ち止まるための場所
もし、「話が始まる前の工程」について、もう少し言葉を見てみたい、と感じたら、別のページにその話を書いています。
このズレは、結論の前に扱われるべき工程の一つです。
このような状態は、複数の場面で観察されます。
無理に進む必要はありません。
必要だと感じたときにだけ、辿ってください。
(補足)
「話が噛み合わない」と感じること自体は、失敗でも、能力の問題でもありません。
多くの場合、
まだ扱われていない工程が残っている。
それだけのことです。

