会議や打ち合わせの場で、
「議論はしているのに、なぜか前に進まない」
そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。
意見が対立しているわけではない。
誰かがサボっているわけでもない。
むしろ全員が、真剣に「良い判断」をしようとしている。
それでも話が噛み合わなくなる場面があります。
このページでは、その原因を
「意見の違い」や「感情の問題」に求めるのではなく、
判断の前提となっている〈評価基準〉が揃っていない状態
に目を向けています。
評価基準がズレているとは、どういうことか
評価基準とは、
「何を良いと判断するか」
「どこを基準に決めるか」
その拠り所、のことです。
話が噛み合わない場では、
次のような複数の評価基準が、同時に重なって存在していることがあります。
- 数字や成果を最優先する評価基準
- 当事者の感情や納得感を重視する評価基準
- 長年の経験や勘を信頼する評価基準
- 倫理や理念を外せないとする評価基準
それぞれの基準には理由があります。
どれかが絶対的に間違っているわけではありません。
問題は、
どの基準を使って話しているのかが、共有されないまま議論が進んでいること
です。
「正しさ」がすれ違う場で起きていること
このような場では、しばしば
「それは正しくない」
「いや、こちらの方が正しい」
という言葉が行き交います。
しかし、その「正しさ」が、
同じ意味で使われているとは限りません。
- 数字として正しい
- 感情的に正しい
- 経験上は正しい
- 倫理的に正しい
それぞれが、
自分にとっての「正しさ」を前提に話しているのです。
前提が言葉にされないまま、
結論だけを急ぐと、
違和感や反発が生まれやすくなります。
「なぜ話が通じないのか分からない」
この感覚だけが、場に残ることもあります。
飛ばされがちな話が始まる前の工程
評価基準がズレている場では、
本来であれば、次のような確認が必要です。
- 今回の話し合いで「良い結果」とは何か
- どの基準を、どこまで優先するのか
- すべてを揃える必要があるのか、それとも一部でよいのか
しかし実際には、
「時間がない」
「とにかく決めなければならない」
という理由で、この工程が飛ばされがちです。
その結果、
決めようとすればするほど、
話が重くなっていきます。
このページがしていること
このページは、
「どの評価基準が正しいか」
を決める場所ではありません。
また、
「感情を優先すべきだ」
「数字を重視すべきだ」
といった主張をするものでもありません。
ここで行っているのは、判断に入る前に、
評価基準そのものが揃っているか
を、いったん立ち止まって眺めることです。
「評価基準が揃わないまま、進もうとしていないだろうか」
この可能性に気づけただけでも、
次の話し合いの進み方が、少し変わります。
ここで終わっても構いません
具体的な対処法や合意形成の方法を探していた方もいるかもしれません。
しかしこのページでは、それらは扱っていません。
答えを出さなくても、
行動を決めなくても、
「評価基準が揃っていない状態だったかもしれない」
と一度言葉にできただけで、
判断の質が変わり始めます。
ここで立ち止まること自体が、
すでに一つの大切な工程です。
立ち止まるための場所
もし、「話が始まる前の工程」について、もう少し言葉を見てみたい、と感じたら、別のページにその話を書いています。
このズレは、結論の前に扱われるべき工程の一つです。
このような状態は、複数の場面で観察されます。
無理に進む必要はありません。
必要だと感じたときにだけ、辿ってください。
(補足)
「話が噛み合わない」と感じること自体は、失敗でも、能力の問題でもありません。
多くの場合、
まだ扱われていない工程が残っている。
それだけのことです。

