「今すぐ決めるべきだと思う」
「まだ決める段階ではない気がする」
意見が真っ向から対立しているわけではないのに、
なぜか会話が空回りし、結論に近づいていかない。
話し合いの場で、そう感じたはことはないでしょうか。
このとき起きているのは、結論の違いというよりも、
時間軸や緊急度のズレ
であることが、少なくありません。
このページでは、
「早い・遅い」「急ぐ・待つ」といった感覚が噛み合わないとき、
話の手前で何が起きているのかを整理します。
時間軸や緊急度のズレで、よくある状態
時間軸や緊急度のズレがある場面では、
次のような状況がしばしば見られます。
- 「今」なのか「後」なのかが揃っていない
- 同じゴールを想定してはいるが、決め時が違う
- スピード感の違いが「意見の対立」として扱われている
- 「今すぐ」と「まだ早い」が、理由を共有せずに衝突している
結果として、
「なぜそんなに急ぐのか分からない」
「なぜ今決めないのか理解できない」
などのように、
相手の姿勢や判断力そのものへの違和感
にすり替わっていきます。
そして、時間の話は評価の話に変わる
これらは本来、次のような時間の話であるはずです。
- 何を基準に「今」と感じているのか
- 何が整った「後」なら進められると思っているのか
- どんなリスクを避けたくて、急いでいるのか
- どんな損失を恐れて、待とうとしているのか
ところが、こうした前提は、
多くの場合、言葉にされないまま進みます。
結論だけが先に出され、
時間感覚は各自の中に置き去りにされる。
すると、話は次のように変質します。
- 慎重すぎる/拙速すぎる
- 腰が重い/無謀だ
- 消極的だ/性急だ
元は、時間の話だったものが、
人の姿勢や態度の評価
に置き換わってしまうのです。
緊急度は、事実ではなく前提である
「緊急度が高い」
「今すぐ対応が必要だ」
このような感覚は、しばしば事実のように扱われます。
しかし多くの場合、それは
- どのリスクを最も重く見ているか
- 何を失うことを最優先で避けたいか
という、前提の置き方から生まれるはずのものです。
一方で、「まだ早い」と感じている側も、
- 見えていない要素がある
- 一度決めると戻れない
- 後からの修正コストが高い
といった、別の前提を持っているかもしれません。
前提が共有されないままでは、
どれだけ結論を議論しても、
話は噛み合いません。
結論を急がない、という工程
このページが扱っているのは、
「急ぐべきか」「待つべきか」
という判断そのものではありません。
扱っているのは、
時間軸や緊急度が揃わないまま結論に入ろうとしている状態
そのものです。
結論を急がない、というのは、
決めないことを正当化するためではありません。
- なぜ今だと思っているのか
- なぜ今ではないと思っているのか
この前提を一度そろえない限り、
結論は出ても、納得や持続性が残りません。
いったん立ち止まり、
「私たちは、どの時間を生き、話をしているのか」
を確認する。
それは、話を止めるためではなく、
話が噛み合う地面を整えるための工程です。
ここで終わっても構いません
もし、ここまで読んで、
「自分たちは、結論の是非ではなく、時間の前提がズレたまま話していたのかもしれない」
そう感じたなら、このページはここで閉じても構いません。
答えを出さなくても、
結論を先送りにしても、
何かを取りこぼしているわけではありません。
時間軸や緊急度のズレに気づくだけで、
次に話し合うときの進み方は、
少し変わります。
立ち止まるための場所
もし、「話が始まる前の工程」について、もう少し言葉を見てみたい、と感じたら、別のページにその話を書いています。
このズレは、結論の前に扱われるべき工程の一つです。
このような状態は、複数の場面で観察されます。
無理に進む必要はありません。
必要だと感じたときにだけ、辿ってください。
(補足)
「話が噛み合わない」と感じること自体は、失敗でも、能力の問題でもありません。
多くの場合、
まだ扱われていない工程が残っている。
それだけのことです。

