(メールマガジンとして配信された文章)
おはようございます。ラピシュットの長谷川高士です。
約10年ぶりに見直された「南海トラフ巨大地震の被害想定と対策」。
その読み解きを3週連続で書いており、「次週に続く」と先週予告しましたが、1回お休みして今日は別のことを書きます。
今日のコンテンツは、分解する力、です。
弊社、ラピシュット合同会社は、パソコン業務の代行業を主な事業としてスタートしました。
昨年の後半から、徐々にまとまった仕事をいただけるようになり、一部には繰り返しの依頼も含まれています。
繰り返しの依頼など、依頼者との関わりが増えたり深くなったりするにつれて、依頼の内容も次第に変化してきました。
仕事の種類としてはコンサルティングの部類に入るだろうと思われます。
ひと言でいえば、「業務改善(改革)のコンサルティング」を引き受けるようになりました。
抽象的な表現ではありますが、情報やコミュニケーションにおける
- 渋滞を解消して、スイスイ動けるようにする
あるいは、
- 絡まった糸をほぐして、自由に使えるようにする
というような仕事(業務)です。
実はこれ、ずっと以前から
「やりたい(仕事にしたい)」
と、私が思っていたことでした。
共感が得られるかどうか分かりませんが、情報やコミュニケーション上に
渋滞や糸の絡まりを見つけると、
「どうにも解消したり、ほぐしたりしたくなってしまう」
という質(たち)なのです。
もしかすると、渋滞や糸の絡まりが、比較的目に入りやすいのかもしれません。
いずれにしても、やりたかった仕事を実際にできることを嬉しく、ありがたく思います。
業務上のよくある課題
業務改善のアプローチの1つに、業務上の課題の解消があります。
そして解消が求められる課題の多くが、コミュニケーションに関わるものであることを日々実感しています。
2人以上で1つ以上の業務を遂行する場合、たとえば次のような課題が発生します。
2人のうちの一方をA、他方をBとするとき、
- AがBに依頼Xをしたが、Bからの応答X'がAの期待に満たない
数式にすると、次のよう表せます。
- 依頼X(におけるAの期待)> 応答X'
この不等式は、Aの期待という主観に基づく以上、
「何か違うんだよなー」
などという定性的なものであることを免れませんが、たとえば量の多寡や期間の長短など、数値で明確に証明できる場合もあります。
いずれにしてもAの立場からだけで言えば、
「期待外れ」
であることに変わりはありません。
この結果をAが課題だと認識して、その解消に努めようとするとき、その原因をBだけに求めることは、お察しのとおり健全ではなく、同時に得策でもない場合が多い、と私は実感しています。
一方で、何らかの工夫をするなど、Aだけが課題の解消に努めるというのもまた然りで、やはり期待するような結果を得ることができません。
「その大半を、ここに集約できるのではないだろうか」
そう思えるほど、業務ではこの種の課題が頻繁に発生しています。
伝わっているのだけれど……
話の流れから、私がこの課題の解消について書こうとしているのは明白です。
とはいえ、ご承知のとおり決して容易い課題ではありません。
そこで、ヒントや糸口になる話、というのを書こうと思っています。
- AがBに依頼Xをしたが、Bからの応答X'がAの期待に満たない
- 依頼X(におけるAの期待)> 応答X'
例として挙げたこの状況は、次の2つの場合に分けることができます。
- Bが依頼Xを、必要な程度に正しく理解している
- Bが依頼Xを、必要な程度には正しく理解していない
2)の場合には、課題解消の順序として、2)を 1)にすることが優先されます。
そして今日のテーマは、この
「2)を 1)にする」
という話ではありません。
つまり、1)の場合の課題解消のヒントの話をしよう、というわけです。
Bが依頼Xを、必要な程度に正しく理解してはいるが、その応答X'がAの期待に満たない。
これもさらに、次の2つの場合に分けられます。
- Bの能力が、必要な程度には十分でない
- Bがその能力を、必要な程度に発揮していない
1】の場合の課題解消の方法は明快で、AB双方で協議して応答する人員(または手段や用具)をB以外にも求めることです。
要するに、能力の不足分を補えばよいのです。
無論、実際の現場では、これすらも容易でないことが多いのは重々承知しています。
あくまでも解決の方向性の話と捉えてください。
これに比べると解消方法の明快さが劣る、すなわち方向性が見えづらいのが、2】の場合です。
Aの主観ではなく客観的な事実として、Bは少なくとも期待どおりの応答XをAに返せる能力を持っている。
にもかかわらず結果が伴っていない、という状況です。
防災講演会で得られたヒント
先日、ある防災講演会に参加し、次のようなエピソードを聴きました。
災害対応の現場での話で、要約すると次のようなものでした。
- 当該の地域には複数の避j難所があり、その内のA避難所の運営を手伝っていた。
- 別のB避難所には仮設浴場があったが、A避難所には仮設浴場がなかった。
- これ以上の仮設浴場の配備が状況的に困難であることは明白だった。
- A避難所からB避難所まで避難者が徒歩で移動するのも困難で、移動に使える車両も十分ではなかった。
- 公平性の観点から、A避難所の避難者がB避難所の浴場を利用できる手段を行政に講じてほしいという希望があった。
エピソードはまだ続きますが、ここで一旦止まって、考えてみてください。
「何とかしてください」
このような依頼Xを行政にしたとして、その応答X'をどの程度期待できるでしょうか。
講師は、この場合における
「期待値を上げるヒント」
を、具体例を通して教えてくれました。
では、エピソードの続きです。
- どうすれば(何があれば)、Aの避難者がBの浴場を利用できるかをみんなで考えた。
- マイクロバスで往復してくれれば、Aの避難者もBの浴場を利用できる、と思い付いた。
- 「避難所AB間を往復するマイクロバスを運転手付きで手配してほしい」と行政に依頼した。
- 避難所AB間を往復するマイクロバスを運転手付きで、行政が手配してくれた。
「何とかしてほしい」
このように依頼したとしても、ひょっとすると同じ結果が得られていたかもしれません。
こればかりは確かめようがありませんが、このエピソードから今日のテーマにおけるヒントや糸口を得ることができそうです。
表現の方法や切り口は他にもあるかもしれませんが、今回は「分解」というキーワードを用いてヒントや糸口を味わいたいと思います。
- A避難所の避難者がB避難所の浴場を利用できるようにしてほしい
この依頼Xを分解したものの1つが、
- 避難所AB間を往復するマイクロバスを運転手付きで手配してほしい
という依頼X1です。
依頼を受ける行政職員の立場になるとより想像しやすくなりますが、依頼X1は依頼Xに比べて、取り組むハードルが一段下がっていると感じられます。
これは分解によって得られる効果だといえます。
依頼X1は、さらに細かく分解することが可能です。
そして、分解された依頼が小さければ小さいほど、取り組むハードルが低くなることは言うまでもありません。
作業である以上、分解にも能力が必要で、その能力は人によって高低が異なる、つまり得手、不得手があります。
一方で、仮に分解する能力があっても、分解する以前の塊が大きすぎるがゆえに、分解する能力はもとより、その依頼に応答する能力すらも十分に発揮されない、ということがしばしば起こります。
講師のエピソードでは、当時の行政においてこのリスク、すなわち、
「依頼の塊が大きすぎて、期待どおりには応えてもらえないかもしれない」
というリスクを見越して、依頼する側が積極的に分解を行いました。
なるほどこれも有効な方法の1つでしょう。
あるいは、依頼者と応答者が協力して分解を行う、ということもできるかもしれません。
分解する力はみんなで生きる力だと、あらためて思い、紹介しました。
参考にしていただければ幸いです。
◇今日の気づき
不足している能力は、補えば良い
分解する力は、みんなで生きる力である
◇この文章の入口(参考)
現場のやり取り(右下)から、まだ定まらない意味(左上)へ
この文章は、
判断や結論に入る手前の、話の地面に立ち戻る中で書かれています。
この文章を読んで、
話が噛み合わない感触や結論に入る前の違和感
が残るときは、それを急いで解消しなくても構いません。
そのための場所を、別に置いています。
